三浦環の芸の力


人気ブログランキングによろしければご投票をお願いいたします!
こちらをクリックするだけでOKです→ 【人気ブログランキング・投票クリック(^∀^)9】
    ☆    ☆    ☆
こちらの本が入ってきたのでパラパラとめくっていたのですが、

音楽史とくに知らなくてもいい話」武川寛海/中央公論社
三浦環(ソプラノ/1884-1946)と「蝶々夫人」に関する話題がありました。
この本によれば、三浦環女史が欧米から凱旋帰国し、
蝶々夫人」をわが国で初めて演じたのは、昭和11年6月の事だったそうです。
著者のかたはこの舞台を見ることができたらしく(何と羨ましい!!)、
その時の感想が書いてありました。

流石は国際的な名歌手である。
その第一声は隅々まで響き渡った。
だがなにしろ生卵を一日に何十個も飲むし、
ビフテキを何枚も平らげたそうだ、
という伝説を持っている女史である。
丸々と太っている。しかし背は低いのである。厚化粧である。
それにつき従うおつきの少女たちは
楚々とした本物の美少女たちである。いかにも不自然である。
やがて彼女は「私、15よ」と言った。
すかさず筆者の前にいた人が「嘘つけ、50の間違いだろう」と
小声で言った。(当時の女史は52歳)
ところがである。いつの間にか三浦女史の不自然さは
もう感じられなくなっていたのである。芸の力である。
そしてついにその歌唱力と演技力とは、
我々を完全に泣かせてしまったのである。
筆者も終って客席が明るくなったらどうしよう、と
こらえにこらえたのであったが駄目であった。(抜粋)

「芸の力」とは本当にすごいなあと思います、どれだけ素晴らしい舞台だったのだろうかと
思いを馳せることしかできませんが・・・(タイムスリップができればなあ!(。´曲⊂) )
例えば先だって話題にした「ウエストサイド物語」も、
実はキャストは意外と年齢がいっております。
ナタリー・ウッドとリチャード・ベイマーは23歳、
ジョージ・チャキリスとラス・タンバリンは27歳、リタ・モレノに至っては30歳です。
でも「不良少年なんてやってる年齢じゃないよね(゜∀゜;)」などと突っ込みを入れるには
皆あまりに素晴らしい当たり役!ダンスや演技の魅力で有無を言わさず納得させられる、
これが正しく「芸の力」なのだと思いました。


それから、筆者がパリのオペラ・コミック座で「蝶々夫人」を見た時の事が
書いてありました。

いかに昔の日本であるとはいえ、
全く想像を絶した風景、風俗である。
掛軸が印象的であった。漢字のようなものが一字書いてある。
漢字ではない。第一ああいう字はない。
だが漢字以外の何物でもないのである。
(中略)
やがて蝶々夫人が障子に穴をあけ、
ピンカートンの来るのを見張る場面となる。
あれは我々は三浦女史のそれ以来、右手の人差し指に唾をつけ、
そっと障子紙に穴をあけることになっている。
舞台の裏では有名な「船歌」がソプラノとテノールのハミングで
流れている。
ところがである。障子に紙は張ってあった。
フランスの蝶々さんはやおら右手の腕をまくり、こぶしを固めて
エイッとばかりに突き破ったのである。
唾で穴のあくような和紙は、あちらにはないからなのであろう。
あっと驚いたのは筆者だけであった。
あちらではああいうことになっているのであろう。(抜粋)

人差し指でぷすっ♪とあけるのが奥床しくて良いのに、
こぶしで ボスッッ!!(o゜Д゜)=◯★ と破るなんざあ
一体どこの女丈夫ですか!!(ノ∀`)・゜・。
でもまあ、我々日本人がやっている外国のオペラとかお芝居も、
外国の人から見たら色々突っ込みどころがあるんでしょうね、きっと(笑)


人気ブログランキング(本・読書部門)は現在3位です、
皆様どうもありがとうございます!
よろしければご投票をお願いいたします、
こちらをクリックするだけでOKです→ 【人気ブログランキング・投票クリック(^∀^)9】