モナコの道化師

やっと観ました！！

道化師*歌劇 [DVD]

２０世紀半ば頃、世界に君臨した大テノール、マリオ・デル・モナコ。
私が彼の歌声をレコードで初めて聴いたのは小学生の頃で、
ライブ録音のアリア部分を集めた輸入盤でした。
音質は非常に悪かったけれど、
その熱気のこもった歌声の迫力たるや凄まじく、
固唾を飲んで聴き入った覚えがあります。
さて、このＤＶＤは１９６１年に東京文化会館で行われたライブ映像です。
モナコの映像はほとんど残っておりませんし、
この歴史的映像は、正に世界に誇れる日本の宝と言って良いでしょう。

さすがに一昔前の歌い手さん達ですので、大仰な身振り手振りの演技です。
けれどもやはり「凄い」。モナコを中心に、輝かしい肉厚な声、
のっしのっしと舞台を練り歩く迫力。
イタリアオペラの黄金時代とはかくもこのようなものであったのかと、
正に目の当たりにすることができました。

いささか粗野で激情的なパリアッチョという役は、
本当にモナコにピッタリです。
有名な「Vesti　la　giubba」で、これほどまでに
聞き手の心を揺さぶることのできる歌手が他にいるでしょうか。
もっと技巧に長けたテノールや器用なテノールは他にたくさんいます。
発声法も、普通の人が真似をしたらすぐに喉を壊してしまいそうな、
強靱な喉を持ったモナコであるからこそできるやり方で、
正統派のベルカントとは言えないでしょう。
けれどもその男性的で輝かしい声と、渾身の力を込めた直情的な演技とで、
観客の心を魅了してやみません。
また、アルド・プロッティのトニオも良かったです。
プロッティはこれほど素晴らしい歌い手さんなのに、
その割には今イチ有名ではない気がするので非常に不思議です。
声も素晴らしいし（高音のＡｓも全く危なげなく朗々と伸ばしており、
見事でした）演技もいいのに・・・・
舞台でバク転まで披露していてビックリ！　��(゜▽゜)
ちなみに私が以前教わっていた声楽の先生が
このプロッティのお弟子さんで色々と話を聞いていたので、
映像で見ることができて感慨深かったです。

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