天才の存在意義

この本を読みました。

史上最強のオペラ

史上最強のオペラ


私の大好きなソプラノ歌手の一人に、キャスリーン・バトルという人がいます。
日本でも1987年頃、ニッカウヰスキーのCMに起用されて一躍有名になり、
それ以来絶大な人気を誇っています。
このCMが放映されていたのは私が小学生の頃でしたが
いまだに強烈に記憶に残っており、
バトルの静謐な歌声と美しい容姿、そして背景の雄大な景色の美しさも相成り、
見ていて心が震えました。
(ちなみにこのCMを監督したのは、
 先頃亡くなった実相寺昭雄氏だったそうです)。


バトルの歌声は本当に天使のような美声で素晴らしく、
容姿や演技もチャーミングで本国アメリカでも大スターでした。
ところが性格がよろしくないことで有名で(;´`)、
その度を過ぎたわがままを理由に1994年、
世界でもトップクラスのアメリカの大歌劇場である
メトロポロタン歌劇場から解雇されています。


そして今回上記の本を読んだのですが、
この本の筆者はメトロポリタン歌劇場の総支配人で、
なんとバトルを解雇したその張本人でした
(私はそのことを知らずに本を開いたのですが ^^;)。
本の中でバトルについてまるまる一章が割かれておりましたが
それによると本当にすごかったようで、
例えば「フィガロの結婚」のリハーサル中に、
伯爵夫人役のキャロル・ヴァネスよりも自分の楽屋の方が狭いことに激怒し
(慣習により、普通はスザンナ役よりも伯爵夫人役の女性の方が
 広い楽屋を使うことになっている)、
ヴァネスがリハーサルを行っている間に
彼女の服をロビーに投げ捨てて勝手に楽屋を移動してしまったり。
いつも絶えず共演者やスタッフの人たちに罵倒や批判を浴びせ続け、
周りの人たちの神経をボロボロにしてしまったのだそうです。
当時あれほど絶大な人気を誇っていて、
確実にお客さんを呼べる大スターであったのに解雇されるということは、
本当によほどのわがままだったんだろうな・・・とは思っておりましたが。
あれほど最高に美しい歌を歌う人が、
どうしてこのようなすごい性格なのか・・・・・と
何だか信じがたい思いです。




そして先日、新聞の対談で
村上春樹さんが次のように語っていたことを思い出しました。
テーマはフィッツジェラルドについてだったのですが。

天才と呼ばれる人々の個人的生活には、
どんな規範や基準も適応できません。
そういうものが適応できるのは
「天才ではない人々」についてだけです。
天才について語られるべきは、その結果のみです。
天才はどんな生活を送り、どんなひどいことをしても別に構わない
(もちろん芸術的な視点から言ってですが)。
破滅しようが、若死しようが関係ない。
ただ素晴らしい作品を後世に残せばいいわけです。
天才というのはそのために存在しているわけですから。


ナルホド・・・・・(;-_-)
・・・・・身近には絶対にいて欲しくないですが(;´∀`)、
素晴らしい作品は大いに楽しみましょう〜〜!


モーツァルト:オペラ・アリア集

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アヴェ・マリア

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